株式会社愛宕が資金調達、伊予銀行の「環境私募債」を活用

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株式会社愛宕が私募債を発行し資金調達、伊予銀行が引受

株式会社愛宕(大分県中津市、代表取締役:愛宕康平)は、2024年8月20日に「環境私募債」を発行し、伊予銀行が受託したことを発表しました。この私募債は、愛宕社がISO14001を取得し、環境配慮型経営を実践していることを背景に無担保で発行され、発行額は1億円、期間は5年間となっています。資金使途は運転資金であり、環境問題に積極的に取り組む企業姿勢が評価されています。さらに、2023年度グッドデザイン賞を受賞した災害対応車両『青空図書館』には、ソーラーパネルや蓄電池が搭載されており、これも同社の環境への取り組みの一環として注目されています。

このニュースのポイント

  • 株式会社愛宕が「環境私募債」を発行し、伊予銀行が受託
  • 発行額は1億円、期間は5年間、資金使途は運転資金
  • 愛宕社はISO14001を取得し、環境配慮型経営を実践
  • 『青空図書館』はグッドデザイン賞を受賞し、災害対応車両としても注目

株式会社愛宕と私募債について

  • 会社名: 株式会社愛宕
  • 代表者: 代表取締役 愛宕康平
  • 設立日: 2002年4月
  • 所在地: 大分県中津市大字犬丸2473番地
  • 事業内容: 自動車及び自動車部品販売業
  • 私募債名: 環境私募債
  • 金融機関: 株式会社伊予銀行
  • 発行日: 2024年8月20日
  • 発行金額: 1億円
  • 資金使途: 運転資金
  • 発行期間: 5年
  • 返済方法: 不明
  • 会社の概要: 株式会社愛宕は、大分県中津市に拠点を置く企業で、自動車および自動車部品の販売を行っています。環境配慮型経営を推進し、ISO14001を取得しているほか、災害対応車両として注目される『青空図書館』も展開しています。

株式会社愛宕が資金調達、伊予銀行の「環境私募債」を活用

私募債とは

私募債とは、企業が資金調達を目的に発行する社債の一種であり、一般的には特定の金融機関や機関投資家に対して限定的に販売されます。公募債と異なり、発行に際しての手続きや情報開示が簡略化されるため、中小企業にとっては資金調達の選択肢の一つとして魅力的です。特に、今回のように環境に配慮した企業が発行する「環境私募債」は、企業の社会的責任をアピールする手段ともなります。

中小企業が私募債を利用するメリット

私募債は中小企業にとって、資金調達の重要な手段となることが多いです。その主なメリットは以下の通りです。

  1. 手続きの簡略化: 公募債と比較して、私募債の発行手続きは簡素化されており、時間とコストの削減につながります。公開会社や投資家向けに広く販売される公募債とは異なり、私募債は特定の金融機関や投資家向けに発行されるため、複雑な手続きや詳細な開示義務が軽減されます。
  2. 柔軟な条件設定: 私募債は発行者と投資家との間で直接交渉が行われるため、発行条件が柔軟に設定できます。例えば、返済期間や利率、資金使途など、企業のニーズに合わせた設計が可能です。
  3. 信用力の向上: 信用力が高い企業が私募債を発行することで、金融市場における評価が向上する可能性があります。また、今回のように環境配慮型の私募債を発行することで、企業の社会的責任(CSR)を強調し、企業イメージの向上にもつながります。
  4. 長期資金の確保: 私募債は中長期的な資金調達手段として利用されることが多く、企業が安定した資金運用を行う上で有効です。特に、資本性借入金と位置付けられるケースでは、自己資本比率の改善にも寄与します。

これらの理由から、中小企業にとって私募債の発行は、柔軟かつ効率的な資金調達手段として利用されることが多くなっています。詳しいメリットについては、「私募債のメリット」の記事も参考にしてください。

中小企業が私募債を利用するデメリット

一方で、私募債の発行にはデメリットも存在します。以下にその主な点を挙げます。

  1. 投資家の限定性: 私募債は特定の投資家向けに販売されるため、資金調達先が限定されます。このため、発行条件が公募債と比較して不利になる可能性があります。また、特定の投資家に依存することで、資金調達の柔軟性が失われるリスクもあります。
  2. 流動性の欠如: 私募債は公開市場で取引されないため、流動性が低いという欠点があります。投資家にとっては、発行された私募債を容易に売却することができないため、流動性リスクを伴います。この点は、発行者にとっても金利条件や発行条件に影響を与える可能性があります。
  3. 信用力の要件: 私募債を発行するには、一定の信用力が求められるため、全ての中小企業が利用できるわけではありません。特に、金融機関が求める財務基準や経営状態を満たす必要があり、要件をクリアするための準備が必要です。
  4. 高い発行コスト: 公募債に比べて手続きが簡略化される一方で、私募債の発行には専門家のサポートが必要となることが多く、発行コストが高くなる場合があります。また、発行時には信用格付けやデューデリジェンスが必要となる場合があり、それに伴う費用も発生します。

中小企業が私募債を利用する際には、これらのデメリットを十分に理解し、自社にとって最適な資金調達手段であるかどうかを慎重に判断する必要があります。詳細は「私募債のデメリット」の記事でご確認ください。

中小企業が資金調達に私募債を発行するプロセス

中小企業が私募債を発行して資金調達を行うには、以下のプロセスを経ることが一般的です。

  1. 準備段階: まず、私募債発行のための条件を整えるため、財務状況の整備や必要な書類の準備を行います。この段階では、企業の信用力を高めるために、ISO取得やCSR活動の実施が推奨されることもあります。
  2. 金融機関との交渉: 次に、発行を引き受ける金融機関との交渉を行います。ここでは、発行額、金利、返済条件、期間などの発行条件が話し合われます。また、発行を引き受けるために必要な財務基準や審査基準も確認されます。
  3. 契約および発行: 金融機関との契約が成立した後、私募債の発行が行われます。発行後は、資金が企業の口座に振り込まれ、資金使途に基づいて適切に活用されます。
  4. 管理および返済: 発行後は、定期的な返済および利息の支払いが行われます。また、私募債の発行に伴う管理業務として、企業の財務状況や環境配慮の取り組みについての報告が求められることもあります。

私募債発行の税務上の取り扱い

私募債発行の際の税務上の取り扱いには、特に留意すべき点があります。発行時の費用や利息の支払いは、税務上どのように処理されるかがポイントです。

  1. 発行費用の取扱い: 私募債発行に伴う費用は、一般的には発行費用として計上され、税務上は損金として処理されます。ただし、具体的な処理方法は、費用の性質や企業の会計方針により異なる場合があるため、専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。
  2. 利息の支払い: 私募債の利息は、発行企業にとっては借入金の利息と同様に、税務上の損金として扱われます。これにより、課税所得が減少し、企業の税負担が軽減されることがあります。
  3. 税制優遇措置: 環境私募債のように、特定の目的で発行される私募債には、税制上の優遇措置が適用される場合があります。例えば、環境保護活動を行う企業が発行する私募債については、特定の条件下で税控除が受けられることもあります。

税務上の取り扱いは、企業の財務状況や発行する私募債の種類によって異なるため、適切な税務処理を行うために税理士や会計士の専門的な助言を受けることが重要です。

私募債発行の会計処理

私募債発行における会計処理は、企業の財務状況に大きな影響を与えるため、正確かつ適切に行う必要があります。

  1. 発行時の処理: 私募債を発行した際の会計処理として、発行額が企業の負債として計上されます。この負債は、償還までの期間中、企業の貸借対照表上で長期債務として扱われます。
  2. 利息の計上: 私募債の利息は、企業の損益計算書において支払利息として計上されます。この利息支払額は、企業の収益から控除されるため、利益に対する影響も考慮する必要があります。
  3. 償還時の処理: 私募債の償還時には、企業の負債が減少し、発行時に計上された長期債務が消滅します。この際、償還額と発行額に差異が生じた場合、その差額が利益または損失として処理されます。
  4. 監査対応: 私募債の発行や償還に関する会計処理は、監査法人による監査を受けることが求められる場合があります。特に、財務諸表の信頼性を確保するために、適切な会計基準に基づいた処理が重要です。

私募債発行の留意点

私募債を発行する際には、以下の点に留意することが求められます。

  1. 信用力の確認: 私募債発行には、企業の信用力が重要です。財務状況や経営状況が安定していることが求められ、発行に際しては信用格付けの取得も考慮されるべきです。
  2. 返済計画の明確化: 私募債は、一定期間後に元本の償還が求められるため、確実な返済計画を立てることが重要です。特に、返済資金の確保やキャッシュフローの管理には十分な準備が必要です。
  3. 法的手続きの遵守: 私募債発行には、関連法規に基づいた手続きが求められます。発行に必要な書類や契約書の整備、適切な報告義務の履行を怠らないようにすることが重要です。
  4. 投資家との信頼関係: 私募債は特定の投資家向けに発行されるため、投資家との信頼関係の構築が不可欠です。発行後の適切な情報開示やコミュニケーションを通じて、投資家の信頼を得ることが、今後の資金調達にも影響を与えます。

私募債と他の資金調達方法の比較表

資金調達方法 発行手続き 流動性 費用 リスク
私募債 簡略化されている 低い 高め 信用力必要
公募債 複雑 高い 低め 市場リスク
銀行融資 標準 低い 中程度 担保が必要
株式発行 複雑 高い 低め 所有権の希薄化

 

伊予銀行の「ESG私募債 環境私募債」について

伊予銀行の「ESG私募債 環境私募債」について

伊予銀行が提供する「ESG私募債 環境私募債」は、環境に配慮した事業活動を行う企業を支援するための金融商品です。この私募債は、企業の資金調達手段として注目を集めており、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から企業価値向上を目指す中小企業にとって魅力的な選択肢となっています。

特徴とメリット

  1. 環境配慮型の資金調達
    環境私募債は、環境保全や省エネルギーなどの取り組みを行う企業に特化した資金調達手段です。これにより、企業のESG活動をアピールしつつ、必要な資金を調達できます。
  2. 企業イメージの向上
    環境に配慮した経営姿勢を示すことで、取引先や消費者からの信頼度が向上し、企業イメージの改善につながります。
  3. 金利優遇の可能性
    伊予銀行では、環境私募債の発行企業に対して、通常の私募債よりも優遇された金利を提供している可能性があります。これにより、資金調達コストの低減が期待できます。
  4. SDGsへの貢献
    環境私募債の発行は、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた取り組みとしても評価されます。これは、取引先や投資家からの評価向上にもつながります。

デメリットと留意点

  1. 審査基準の厳格さ
    環境私募債の発行には、通常の私募債よりも厳格な審査基準が設けられている可能性があります。環境への取り組みや財務状況などが詳細に評価されます。
  2. 資金使途の制限
    調達した資金は、環境関連の事業や設備投資などに限定される場合があります。使途の自由度が比較的低いことに留意が必要です。
  3. 情報開示の必要性
    環境への取り組みや資金の使途について、詳細な情報開示が求められる可能性があります。これには追加的なコストや労力が必要となる場合があります。

導入方法と使い方

  1. 事前準備: 自社の環境への取り組みを整理し、具体的な資金使途計画を立案します。
  2. 伊予銀行への相談: 伊予銀行の営業担当者に環境私募債の発行について相談し、詳細な条件や必要書類を確認します。
  3. 審査: 伊予銀行による審査を受けます。環境への取り組みや財務状況などが評価されます。
  4. 発行条件の決定: 審査通過後、発行金額、金利、償還期間などの条件を伊予銀行と協議して決定します。
  5. 私募債の発行: 必要書類を提出し、私募債を発行します。
  6. 資金の活用: 調達した資金を環境関連の事業や設備投資に活用します。
  7. 報告と情報開示: 定期的に資金の使途や環境への取り組みの進捗状況を報告し、情報を開示します。

株式会社愛宕の環境問題への取り組み

環境私募債は、環境に配慮した経営を行う中小企業にとって、資金調達と企業価値向上を同時に実現できる有効なツールです。ただし、導入にあたっては自社の環境への取り組みや財務状況を十分に精査し、伊予銀行と綿密な相談を行うことが重要です。

今回の株式会社愛宕の環境私募債発行は、同社の環境問題への取り組みが評価されるべき好例であると考えます。ISO14001の取得や『青空図書館』の取り組みは、単に企業としての信頼性を高めるだけでなく、社会全体に向けた強いメッセージとなっています。中小企業にとって私募債は、柔軟で効果的な資金調達手段であり、特に持続可能な経営を目指す企業にとっては、今後さらに注目されるべき手段であると感じます。しかし、発行には慎重な計画と管理が求められるため、企業ごとの状況に応じた最適な判断が重要です。

記事ライター

muro

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